2024年5月31日金曜日

テロリストのパラソル/藤原伊織著/講談社文庫~再読

テロリストのパラソル/藤原伊織著/講談社文庫

積読消化が一通り終わり、新しい本を仕入れる前に、再読したかった本を。
ホットドッグが食べたくなりました。


「なににしますか」
「ビール二本。それとメニュー」
「あいにくメニューがなくてね」
「なら、なにがあるんだよ」
「ホットドッグ」
「ほかには?」
「いや、ホットドッグだけ」
「なんだよ。バーやってて、つまみがホットドッグだけってか」

「冗談いってんじゃないだろうな」
「客商売です。冗談はいわない」
「世も末だな。チンケなバーもあったもんだ。ホットドッグとはな」
「店の方針なんです。この単純さを気に入ってくれるお客もいる。もし、なんでもそろってるようなところをお望みならここはふさわしいとはいえませんね。新宿は広い。お客さん向けの店なら腐るほどある」
「てめえ、だれにものいってんだ」 「まあいい。そのホットドッグをふたつもらおうか」

「なんだ、注文があってからキャベツを切るのかよ」
「そうです」
「めんどうじゃねえか」
「めんどうじゃないことをたくさんやるか、めんどうなことをひとつしかやらないか。どちらか選べっていわれたら、私はあとを選ぶタイプでね」
「ややこしいことをいいますね。このバーテン」 「ケチな男だよ」「実際、ケチな野郎だ。けどインテリだな。能書きを並べるケチなインテリだ。そんなやつほど話に筋をとおそうとするんだ。おれのいちばん嫌いなタイプだ」

「へえ。うまいですね、これ」 「ああ」「おれの口にゃあわねえが。そうだな、たしかにこりゃよくできてる」
「それはどうも」
「かんたんなものほど、むずかしいんだ。このホットドッグは、たしかによくできてる」

・・・

「ほんとに損な性格してるよ。おまえさん」「しかしあのときな、あのホットドッグ食って、おれは少々考えが変わったんだ。あんた、料理の修行をしたことがあるのか」
「したといえるほどじゃないな。だが、とんかつ屋で働いていたことがある。見習いのときはキャベツばかりを切ってたんだ。だから、キャベツを切るのは自信がある」
「しかし、なんでホットドッグなんだ」
「私は大阪育ちだ。阪神ファンだった。小学生のころ、叔父が甲子園へ連れていってくれたことがある。球場で買ったかのかどうかは覚えていないが、とにかく外野席でホットドッグを食べた。世の中にこんなにおいしいものがあるのかと思ったよ。いつか、自分でつくろうと思った」

2024/08/24 ハムフェア 2024戦利品

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