2024年5月23日木曜日

ヨルガオ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ著/山田蘭訳/創元推理文庫

ヨルガオ殺人事件/アンソニー・ホロヴィッツ著/山田蘭訳/創元推理文庫

先日読んだアンソニー・ホロヴィッツはホーソーン&ホロヴィッツ シリーズでしたが、こちらはスーザン・ライランド & アティカス・ピュントシリーズの二作目。こちらも最高に楽しめました。上下で850頁ほど一気読みです。

『・・・作家はみな、ひとりひとりちがうものよ。それに、正確に言うなら、けっして盗むわけじゃないの。自分の中に取り入れるだけ。本当に奇妙な職業よね。自分が属している現実の世界と、自分が作りあげた虚構の世界との、ほの暗い境目に生きているような人たちなのよ。ある意味では、おそろしいほど自己中心的な人種ともいえるかな。自信、自省、はては自己嫌悪・・・とにかく、意識はすべて自分に向いているわけ。あれだけの長い時間、たったひとりで書きつづけているんだものね!でも、同時に、心底から利他主義的な人たちでもある。望んでいるはただひとつ、ほかの人たちを楽しませたいということだけなんだから。何かが欠落している人しか作家になれないんじゃないかって、わたしはよく思うの。人生から何かが失われているからこそ、そこを言葉で埋めようと必死になるんだ、って。・・・』


『「アラン・コンウェイのような人間の書くミステリなどというものには、これっぽっちも現実が反映されてはおらんのだ。そんなことはないと思っている人間がいたら、それはただの大馬鹿ものさ。この世に私立探偵などというものも存在しないー十代の息子の素行を調べたり、旦那の浮気相手が誰なのかつきとめたりしてくれる連中をのぞけばな。現実の殺人事件は、藁葺き屋根の田舎家や立派なお屋敷などで起きることなどめったにないーそれを言うなら、海辺のひなびた村でもな。やれやれ、『愚行の代償』か!あの中に一ヶ所でもーそう、ほんの一ヶ所でいいーくだらんたわごと以外の文章があったら教えてほしいものだな。何もない田舎のお屋敷を買うハリウッドの女優。ダイヤモンドをめぐる騒動。玄関のテーブルに置かれた短剣。つまりーまったく、勘弁してくれ!ああいう本の中じゃ、テーブルに短剣が置いてあったら、それは絶対に誰かの胸に突きたてられることになるんだからな」

「・・・あなたはミステリというものを誤解しているんじゃないかと思うんです、警視正。 ・・・ 読者はみな、これらの作品を楽しんでいますし、自分が何を求めてこういうものを読むのかも、よくわかっているんです。けっして現実がよく描けているものを探しているわけじゃなくて、むしろ一時でも現実から離れたいんですよーそんなの、誰だって同じじゃありませんか。ニュースは二十四時間ずっと流れています。フェイク・ニュースだって。政治家がやることといえば、相手を噓つきだとののしるか、そうでなきゃ自分が嘘をたれながすか。そんなときに、ちゃんと筋の通った世界が描かれ、最後にはまちがいなく真実にたどりつく本を読むのは、疲れた心をいくらかでも癒してもらえるからじゃないんでしょうか」』

この本もキープです。

2024/08/24 ハムフェア 2024戦利品

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